まず、自社のモデルハウスで実証する
自社の建物で許可を取り、運営し、数字を出す。ここで得られるのは収益だけではありません。「うちはこれをやっています」と言い切れる立場そのものが、次のすべての土台になります。
人口は減り、着工数は落ち続けています。それでも多くの工務店が、毎年コストだけがかかるモデルハウスを持ち続けています。
私たちは自社で、そのモデルハウスを宿として営業することを選びました。結果を、実名と実数で公開します。
これは予測ではなく、既に始まっている流れです。住宅市場は成熟期の終盤にあり、需要が供給を下回る局面へ向かっています。価格でも規模でも大手に勝てない中小の工務店にとって、生き残りの条件は「わかりやすい個性を、認知されること」に絞られていきます。
ところが、その個性を伝えるはずのモデルハウスが、いま最も重い固定費になっています。建築費と維持費がかかり続け、回収は「いつか来る受注」頼み。縮小していく市場で、回収の当てがない投資を持ち続ける——この構造こそが、いちばんの経営リスクではないでしょうか。
持っているだけで減っていく資産を、
毎月お金を生む資産に変えられるとしたら。
姫路駅から徒歩19分。相続した知人から「この土地を買い取ってほしい」と相談を受けたことが始まりでした。通常のモデルハウスを建てる意味が見いだせず、モデルハウスとして使いながら、同時に戸建の宿として営業するという形を選びました。
※ 上段は直近1年、下段は立ち上げ初年度(2023年2月〜2024年1月)の実績。自社1棟・2室。
※ 月次の推移、四半期ごとの実績、単価の変動まで、すべて解説レポートに掲載しています。
宿泊事業のセミナーはいくつもあります。しかしその多くは、コンサルティング会社か、運営を代行する会社か、情報を発信している個人によるものです。設計し、施工し、許可を取り、集客し、今も毎日運営している会社は、ほとんどありません。
新しい投資をお願いしたいのではありません。すでに予算に組み込まれている費用の、使い道を変えるという話です。同じ建物が、集客装置であると同時に、毎月売上を生む事業資産になります。
家づくりのこだわりは、
「説明」ではなく「体験」として伝わります。
本当の価値は、自社の1棟にとどまりません。使っていない土地を持つ地主、活用に困っている相続地、動かない中古物件——彼らに持っていける新しい提案が手に入ります。ただしそれは、自社で経験した会社にしか語れません。
自社の建物で許可を取り、運営し、数字を出す。ここで得られるのは収益だけではありません。「うちはこれをやっています」と言い切れる立場そのものが、次のすべての土台になります。
「土地を活用しませんか」ではなく「私たちが実際にやっている事業を、一緒にやりませんか」。自社の宿を見せながら話せる会社と、資料だけで話す会社では、地主の反応が根本から変わります。
住宅は引き渡した時点で関係が終わります。宿は、開業してからが始まりです。運営が続く限り関わりが続き、二棟目・三棟目の相談が自然に生まれます。
建てられる会社なら誰でもうまくいく、という話ではありません。私たちも運営してみて初めてわかったことが数多くありました。立地・価格・集客・運営のどれか一つが欠けても、この事業は成立しません。
住宅の良い立地と、宿の良い立地は別物です。駅からの距離より観光の動線、生活利便より宿泊する理由。加えて旅館業の許可が下りる土地かどうかを、着工前に見極める必要があります。
埋めるために安くすると、稼働率に依存する苦しい構造になり、客層も荒れます。稼働30%でも利益が出る価格をどう設計するか——ここが収支の分かれ目です。
自社サイトと予約サイトの役割は違います。在庫と料金を一元管理できていない宿は、繁忙期に取りこぼし、閑散期に安売りします。仕組みの設計が先に必要です。
人を増やせば回る、という考え方では利益が残りません。食事は出さない、清掃は仕組みで回す、システムで省力化する。1名で回せる設計を、建てる前から織り込みます。
役所・保健所・消防の解釈は、担当者によって変わることさえあります。
個別判断の積み重ねで失敗しやすい事業だからこそ、再現性のある「型」が要ります。
月次の稼働率と売上の推移、単価の決め方、立地の判断基準、そして運営して初めてわかった失敗しないための要点まで。数字は加工していません。実際の帳簿から出したものをそのまま載せています。
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